未経験で営業はやめとけ？30代が後悔しない判断基準とは

「30代で営業未経験なんて遅すぎる？」
「家族がいるのに転職なんて現実的じゃない？」

そんな悩みを持つ方が、自動車部品メーカーで15年営業を続けてきた経験から、営業職のリアルをお伝えします。向かない人の特徴や、未経験でも続けやすい働き方を選ぶ方法など、役立つ判断基準をまとめました。
今後のキャリアを冷静に見直すヒントに、ぜひ目を通してみてください。

未経験で営業はやめとけ？30代・家庭持ちが注意すべき現実とは

営業職は「稼げる」「スキルが身につく」といったイメージから、未経験者に人気のある職種です。
しかし、実際に飛び込んでみた結果、「想像と違った」という声も少なくありません。
特に30代や家庭を持つ男性にとって、営業職には見逃せないリスクも潜んでいます。
このパートでは、なぜ「未経験で営業はやめとけ」と言われるのか、その根拠を整理していきます。

営業は「怖い・辛い・厳しい」と言われる3つの理由

営業職に対して、「怖い」「辛い」「厳しい」というイメージを持っている方は多いのではないでしょうか？
その背景には、以下の3つの要素があります。

• ノルマや数字のプレッシャーが強い
  営業職の多くは、売上や契約数といった数字で評価されます。
  達成できなければ上司から詰められる、同僚と比較されるという環境も珍しくありません。
  特に新規営業では、門前払いを何度も経験するため、精神的な負荷は大きくなりがちです。
  
  
• コミュニケーション能力が強く求められる
  「話すのが好き」といった漠然としたスキルでは通用しません。
  顧客のニーズを引き出すヒアリング力、相手に応じた提案力、クロージング力などが必要とされ、未経験者には高いハードルになることもあります。
  
  
• 労働時間が長くなりやすい
  営業職は外回りや顧客対応が中心となるため、定時で終わることは少ないです。
  帰社後に報告書をまとめる、翌日の資料を作成する…という業務もあり、家庭との両立を求める30代男性にとっては難易度が高い側面もあります。

これらの現実を知らずに飛び込むと、「こんなはずじゃなかった」と感じてしまう可能性も…。

30代未経験は通用する？転職で後悔しない判断基準

営業職は学歴や資格よりも実力主義と言われます。そのため「30代からでも挑戦できるのでは？」と思う方も多いですが、実際には年齢がネックになる場面も少なくありません。
判断基準として以下の3点を意識しましょう！

• 年収や労働環境を下げずに転職できるか
• 未経験歓迎の業界・企業かどうか
• 家庭との両立が可能な働き方か

30代で未経験の営業に挑戦するなら、「勢い」ではなく「戦略」が重要です。
例えば、既存顧客を引き継ぐスタイルのルート営業であれば、飛び込みやテレアポのような激しい業務は少なく、家庭との両立もしやすい傾向にあります。

「営業は一番しんどい業種」説の実態とは

営業職が全職種の中でも一番厳しいとよく言われますが、実態を見ると、「業種や企業次第でしんどさは大きく異なる」というのが本当のところです。例えば、下記のような違いがあります。

業種	しんどさの傾向
保険・通信系	個人相手の新規開拓が多く、精神的負担が大きい
IT・ソフトウェア系	専門知識が求められるが、単価が高くやりがいも大きい
自動車部品メーカー	納期・品質・価格交渉の板挟みで精神的に消耗しやすい
人材紹介業界	売上目標がシビアで、面談・提案・調整と業務範囲が広くなりがち
不動産（賃貸・売買）	契約の波が激しく、休日対応や土日出勤が必要なことも多い
広告・メディア業界	顧客の要望が多様で、提案の難易度が高く、成果に直結しにくい

つまり、「営業＝しんどい」ではなく、どの営業かが重要なんです。

営業に向いていない人の特徴とは？

営業がすべての人に向いているわけではありません。
特に以下のような傾向がある方は、慎重な判断が必要です。

• プレッシャーに弱く、数字の評価がストレスになる人
• 対人コミュニケーションに強い苦手意識がある人
• 自分から行動を起こすのが苦手な人
• 自分の時間を大切にしたい人（残業や休日対応が発生しやすい）

前述のとおり、営業は自分の性格と働き方が大きく影響します。
向いていないと感じた場合は、無理に挑戦する必要はありません。

それでも営業に挑戦したい人へ｜後悔しない業界と働き方を選ぶコツ

営業職に「やめとけ」という声がある一方で、それでも営業に挑戦したいという方も多いはず。
特にキャリアチェンジを考える30代にとっては、「どういう業界・働き方を選ぶか」が転職成功のカギ。
ここでは、未経験者でも後悔しにくい営業職の選び方を具体的に紹介します。

営業未経験は何歳まで？年齢とタイミングの目安

未経験から営業職に転職できる「年齢のリミット」は、一般的に35歳前後と言われています。実際、求人票には「未経験歓迎（～35歳まで）」と記載されることも多く、企業がポテンシャル採用に積極な年代の目安となっています。

ただし、年齢だけで可能性を判断するのは早計です。
現場では以下のような視点で採用可否が決まることが多く、30代でも十分にチャンスがあります。

• 前職での顧客対応・調整経験の有無
• 新しい知識を吸収する意欲と姿勢
• 転職理由と志望動機が一貫しているか
• 家庭との両立に対する考え方や柔軟性

さらに、リクルートワークス研究所の「中途採用実態調査（2024年度上半期）」によると、企業の57.8％が必要な人数の中途採用を確保できていないという結果が出ています​。

これは人手不足が深刻化しており、未経験者であっても経歴やスキルによっては採用の対象になりやすいことを示しています。実際、営業職では若さや経験よりも「信頼感」や「誠実さ」を評価する企業も多く、30代の方がむしろ歓迎されるケースもあります。

未経験からでも始めやすい営業の業界3選

営業職に初めて挑戦する場合、業界選びで失敗しないことが非常に重要です。
未経験者が入りやすく、続けやすい営業業界は以下の3つです。

業界	向いている人	メリット	注意点・しんどさ
自動車(部品製造）	長期的な関係構築をしたい人	既存顧客中心、 飛び込みほぼなし	社内外の板挟みになりやすく、品質・納期で精神的に疲弊することも
医療機器・福祉業界	丁寧なヒアリングができる人	社会貢献性が高く、 安定したニーズあり	業界特有のルールや専門用語の理解に時間がかかる場合も
不動産（賃貸・管理）	チームワークを大切にしたい人	チーム体制が多く、未経験者への教育制度が充実	土日出勤が多く、繁忙期は残業が増えやすい

営業と一口に言っても、業界によって働き方やしんどさはまったく違います。
自分に合うスタイルを見極めることが何より大切です。

やめとけ業界はどこ？法人営業・メーカー営業は要注意

一方で、未経験者が避けた方がよい業界・営業職も存在します。
以下の特徴に当てはまる業界は、特に注意が必要です。

業界・業種	注意点
保険・投資系（個人営業）	数字至上主義。未達成で減給、精神的負荷が強い
通信・インフラ代理店営業	テレアポ・飛び込みが多く、体力的にもハード
古い体質のメーカー営業	「体育会系文化」「残業前提」「紙文化」が残る企業も多い

特に「法人営業だから楽そう」「メーカーなら安定」と思い込みで選ぶのは危険です。
上述の「古い体質のメーカー営業を見抜くポイント」について紹介しておきます。

チェック項目	見極めポイント
求人票の文言	「体育会系歓迎」「やる気重視」など精神論ワードが多いと注意。
働き方の記載	残業時間が「20時間以下」と書かれていない or 月平均残業30時間以上は要警戒。
応募条件・歓迎要件	「35歳以下」「男性歓迎」といった年齢・性別の片寄りがあると旧体質の可能性大。
社員紹介・採用HPの雰囲気	写真に“やたら気合いが入っている集団感”や「一体感」ばかり強調する会社は注意。
面接時の雰囲気	「残業も仕事のうち」「飲み会も営業の一部」などの発言が出たら赤信号。
クチコミサイト (OpenWorkなど）	「上下関係が厳しい」「年功序列」「紙文化が根強い」といったレビューがあるか確認。

「楽しすぎ」と言われる営業職の共通点とは

一部では「営業職、意外と楽しすぎる！」という声もあります。
そういった人に共通するのは、次の3つです。

• 顧客との信頼関係を築くのが得意
• 数字をゲーム感覚で楽しめる
• 自分の裁量で仕事を組み立てられる

特にルート営業は、訪問スケジュールや提案内容に自由度があり、「やらされ感」が少ないのも魅力のひとつ。
ただし、これも向き不向きがあるため、「他人が楽しいと言っているから」ではなく、自分の性格や働き方と合っているかどうかを軸に判断することが大切です。

営業職の未来をどう描く？辞めた人・続けた人のリアル

営業職にチャレンジした人の中には、「思ってたより大変だったから辞めた」という人もいれば、「続けて正解だった」と感じている人もいます。
どこにその差が出るのか？辞めた人・続けた人それぞれのリアルな声やキャリアの先を見ていきましょう。

「営業を辞めてよかった」と語る人の転職先とは？

「数字に追われるのがキツかった」「精神的に疲れた」…そんな理由で営業を離れる人は少なくありません。
実際、営業から転職した人が選びやすい仕事には、こんなものがあります。

転職先	特徴
カスタマーサポート	問い合わせ対応がメイン。ノルマなしで気持ちに余裕あり
営業事務・総務	安定感があり、ルーティンワーク中心。残業も少なめ
キャリアアドバイザーなど人材系	営業経験が活かせるが、ややハードな一面も
カスタマーサクセス（IT系）	顧客フォロー中心。将来性あり、スキル習得が鍵

どれも「人と話すのが苦じゃない」経験が活きる分野です。ただ、辞めた後に「やってよかった」と思えるためには、なんとなく辞めるより、次をちゃんと見据えて動くことが大切です。

ホワイト企業を見つけたいなら？営業職ランキングの使い方

営業を続けるにしても、働き方がブラックだと長続きはしません。
最近は、以下のようなツールや情報を使って、ホワイト企業を見分ける人も増えています。

• OpenWorkなどの社員クチコミサイト
• 「営業職のホワイト企業ランキング」に関する特集記事
• dodaなどで公開されている残業時間・有給取得率データ

さらに、企業を選ぶときにはこんな点もチェックしておきましょう。

• 社員の平均年齢（若すぎる＝離職多めの可能性あり）
• 給与の構成（基本給か？歩合重視か？）
• ノルマや目標の設計が現実的かどうか

入ってみないとわからない部分もありますが、下調べをしておくだけで、後悔する確率はグッと下がります。

家庭と両立しやすい！ルート営業という選択肢

営業の中でも、特に家庭との両立を大事にしたい人におすすめなのが「ルート営業」です。
実際、僕自身が15年以上やってきた「自動車部品メーカーの営業」も、このスタイルです。

【まとめ】未経験で営業はやめとけ？本当に避けるべきかを見極めよう

「未経験で営業はやめとけ」と言われる理由には、確かに根拠があります。
数字のプレッシャーや人間関係の難しさなど、営業職ならではの厳しさは確かに無視できません。

でも、それだけで営業職をすべて否定するのは、少しもったいない気もします。
大切なのは、自分に合った営業のスタイルや業界を見つけられるかどうか。
事前に情報を集めて、慎重に見極めていけば、未経験でも挑戦できる環境はあります。
たとえば以下のような視点でチェックしてみてください。

• ノルマやインセンティブの仕組みはどうなっているか
• 新規営業か、ルート営業か（働き方に大きな違いがあります）
• ワークライフバランスは取れるか
• 未経験者の育成・研修制度は整っているか

僕は文系新卒で自動車部品メーカーに入りましたが、既存顧客中心のルート営業というスタイルに救われました。
数字を追うというよりも、「長く信頼関係を築く」という仕事の進め方が、性格に合っていたのだと思います。
また、技術的な内容は社内の専門部署がサポートしてくれるため、未経験でも安心してスタートできました。

もちろん、今すぐ転職を決めなくても大丈夫です。
ただ、今の働き方にモヤモヤがあるなら、情報収集だけでも動いてみる価値はあります。
転職サイトを見る、エージェントに相談する―そんな小さな一歩が、将来の選択肢を広げてくれますよ。

納得のいく働き方を見つけるために、まずはできることから動いてみてください！

今日もよい一日を！