自動車業界は、日本国内だけでなく世界中で大きな市場を持っており、多くの部品メーカーが存在しています。
その中で営業職は、顧客との関係を築き、製品を売るだけでなく、設計や生産、品質管理といった多くの部門と関わりながら仕事を進めていく必要があります。
そのため、自動車部品メーカーの営業職は「きつい」「つらい」と言われることが少なくありません。
しかし、同時に「やりがい」や「成長のチャンス」が豊富にある仕事でもあります!
本記事では、現役自動車部品メーカーの営業である僕の経験をもとに、きついと言われる理由を明確にしながら、
実際にどのような業務があるのか、またその中でどういったやりがいや成長の機会があるのかを詳しく解説します。

これから自動車部品メーカーへの転職を考えている方や、すでに営業職として働いている方にとって、有益な判断材料になる内容をお届けします!
自動車部品メーカー営業がきついと感じる5つの理由
1.社内調整の複雑さとストレス
自動車部品メーカーの営業は、社内調整が非常に複雑であり、これが営業担当者に大きな負担となっています。
単に「売るだけ」ではなく、製造・設計・品質管理など、さまざまな部門と連携しながら進める必要があります。
製品が自動車に組み込まれるため、設計変更や生産トラブルが発生すると、その影響は営業部門にも直接及びます。例えば、ある自動車メーカーから「この部品の仕様を1週間以内に変更してほしい」と要請があった場合、営業は次のような対応をしなければなりません。
これらを限られた時間の中で調整しなければならないため、営業担当者には大きなストレスですよね。
さらに社内調整がうまくいかないと客先評価にも影響し、ストレスや疲労感は爆増します…。
しかも、こういった突発的な要請は結構な頻度で起こります。(仕様の変更度合いによって対応は様々ですが)
そのため、社内の信頼関係を築き、スムーズに連携できる体制を作ることが重要です!
2.顧客からの厳しい要求とクレーム対応
自動車部品メーカーの営業職は、顧客からの要求やクレーム対応に悩まされることも多いのがつらいところです。
以上の様なことが理由に挙げられます。
例えば、納品した部品に不具合があり、顧客から「至急原因を特定し、改善策を提示してほしい」と厳しい要求があった場合、営業は以下のような対応を求められます。
顧客対応を誤ると、会社の信頼が失われる可能性があるため、冷静な対応と社内調整スキルが必要です。
しかし、クレームを乗り越えた時に得られる顧客からの信頼は非常に大きく、次の商談に繋がるケースもありますよ!
3.競合他社との厳しい価格競争
自動車部品メーカーの営業職では、競合他社との価格競争が常に発生します。
例えば、A社の製品が自社製品より10%安い価格で提示された場合、営業担当者は以下のような交渉を行います。
単なる「価格競争」に巻き込まれるのではなく、自社製品の強みをしっかり伝えるスキルが求められます。
低コスト実現のためには自社の技術部門、製造部門、品質保証部門の協力も必要不可欠になるので、
やはり社内調整スキルはとても重要になってきます!
4.業務量の変動と長時間労働の可能性
自動車部品メーカーの営業職は、繁忙期と閑散期の差が激しいです。
具体的には、新車モデルチェンジで新しい部品の受注が決まった場合、仕様決定や設計変更・生産調整などの多岐に渡る業務が発生しますので業務負荷が集中し、時には残業になることもありますが、新車投入後にはぱったりと落ち着きます。
業務量の波があることを理解してスケジュールをうまく管理することが重要ですね!
5.下請け構造による制約とプレッシャー
自動車部品メーカーは、完成車メーカーや一次受けメーカーの下請けになるケースが多く、親会社の要求に従う必要が出てくるケースがあります。
自動車業界独自の下請け構造に振り回されることもありますが、顧客との信頼関係を築くことで、無理な要求を減らしたり、うまく調整することは可能です!
自動車部品メーカーの営業に向いている人と向いていない人
自動車部品メーカーの営業職は、「きつい」と言われることが多いですが、
その分やりがいや成長のチャンスも多くあります!
ただし、どんな仕事にも向き・不向きがあるように、自動車部品メーカーの営業にも適性が重要です。
自動車部品メーカーの営業に「向いている人」と「向いていない人」の特徴を具体的に解説していきます。
自分が営業職に向いているのかどうかを判断する材料にしてくださいね!
ただし、すべての項目に当てはまっている必要はないということは、ご承知おきください。
自動車部品メーカーの営業に向いている人

まずは、自動車部品メーカーの営業に「向いている人」の特徴を見ていきましょう!
1.コミュニケーション能力が高い人
営業職なので当然ですが、
顧客や社内の様々な部署とスムーズにやり取りができる「コミュニケーション力」は必須です。
具体例
ある部品の納期が遅れることが発覚した場合、顧客への説明だけでなく、社内の製造部門や物流部門とも連携して迅速にリスケジュールを調整できることが求められます。
このような場面で冷静に対応できる人は、営業職に非常に向いています。
2.課題解決力や交渉力がある人
自動車部品メーカーの営業では、
顧客の要求やトラブルに対応するための「課題解決力」や「交渉力」が求められます。
具体例
「もっとコストを下げてほしい」と顧客から言われたときに、ただ「無理です」と答えるのではなく、「部品の素材を変更すればコストダウンが可能です」といった提案をすることで、顧客の満足度を上げながら利益を確保できる営業が理想的です。
3.自動車やモノづくりへの興味・関心がある人
自動車業界は「モノづくり」の現場です。
そのため、自動車や部品に対する興味や知識があると、仕事に対する理解度が深まりやすくなります。
具体例
「最新の安全技術を搭載した部品を提案して、受注につながった」といったケースでは、製品に関する知識がある営業の方が説得力が増します。
「技術的なことはよくわからない…」という状態では、顧客から信用を得るのはつらいですね。
4.プレッシャーやストレスに強い人
営業職は常に目標達成や納期、トラブル対応に対するプレッシャーがつきものです。
そのため、多少のストレスがあっても冷静に対応できる人が向いています。
5.グローバルな環境で活躍したい人
自動車業界は世界中の市場とつながっているため、海外での取引や交渉が発生することも珍しくありません。
具体例
「海外の自動車メーカーに自社の部品を提案して、受注に成功した」など、グローバルな取引は達成感も大きく、スキルアップにもつながります。
自動車部品メーカーの営業に向いていない人
自動車部品メーカーの営業職はやりがいや成長のチャンスが多い一方で、適性が合わないと大きなストレスを感じたり、成果を出しづらかったりします。
特に以下のようなタイプの人は、営業職が自分に合っているかどうかをしっかり見極める必要があります。
無理をして働き続けると、精神的にも体力的にも負担が大きくなってしまいますので、
事前に「自分に向いているかどうか」を確認しておきましょう!
1.人とのコミュニケーションが苦手な人
自動車部品メーカーの営業職は、顧客や社内のさまざまな部署と頻繁にコミュニケーションを取る必要があります。
具体例
ある重要な納期が迫っている状況で、製造部門と品質管理部門がスケジュール調整を巡って対立しているとします。
営業担当者としては、双方の言い分を理解し、最適な解決策を見つけて調整する必要があります。
人と話すことが苦手な場合、こうした場面で的確な判断や交渉ができず、問題がさらに悪化する可能性があります。
2.プレッシャーやノルマが苦手な人
営業職は基本的に「数字」で評価される仕事です。
売上目標や納期対応に対して強いプレッシャーがかかります。
このプレッシャーに耐えられないタイプの人は、営業職を続けるのが難しくなる可能性があります。
具体例
例えば、納期が3日後に迫っている状況で、製品に不具合が発覚した場合、顧客への説明と社内の対応を同時に進めなければなりません。
このような場面で「どうしよう…」と焦ってしまい、冷静に対応できない場合、顧客の信頼を失うリスクがあります。
3.モノづくりや自動車に興味がない人
自動車部品メーカーの営業は、製品や技術に関する知識が必要になるため、モノづくりや自動車に対して興味や関心がない人には不向きです。
具体例
「エンジンのダウンサイジング」や「EV(電気自動車)用の新素材」など、業界のトレンドを理解し、それに応じた提案をすることが求められます。
興味がないと、学習意欲が湧かず、競合他社に負けてしまうかもしれません。

ただし、僕も最初は全くクルマに興味のない状態だったので、そこまで心配する必要はありません。あくまで「興味があると、なお良し」といったところですね!
4.海外出張やグローバルな仕事に抵抗がある人
自動車業界はグローバル市場で競争しているため、海外取引や海外出張が発生することがあります。
具体例
「海外の自動車メーカーに部品を提案するために1週間の海外出張が決まった」というケースでは、時差や異文化に適応しながら、成果を出すことが求められます。
これが負担になると、仕事へのモチベーションが下がってしまいます。
ただし、現地駐在員がいるような会社の場合は、基本、海外出張になるといったケースはありません。
営業職が合わないかも…と感じたら?
いざ転職してみたものの、実際とのギャップを感じることは、当然あり得ます。
「自動車部品メーカーの営業、ちょっと合わないかも…」と思った場合は、無理に続ける必要はありません。
無理に「営業ができる人」になろうとする必要はありません。
自分の強みを生かせる仕事を見つけることが、長く働くためには大切ですね!
自動車部品メーカー営業の良いところ
自動車部品メーカーの営業職は「きつい」と言われることが多いですが、
その一方でやりがいや成長のチャンスが非常に多い仕事でもあります。
営業として高いパフォーマンスを発揮することで、キャリアアップや報酬アップに直結しやすく、またモノづくりに直接関わることができるため、他の業界にはない独自の魅力があります。
ここでは、自動車部品メーカーの営業職の良いところを詳しく解説します!
営業職に挑戦しようと考えている方や、すでに営業職で働いている方にとって役立つ内容になるはずですよ。
モノづくりの醍醐味を味わえる
自動車部品メーカーの営業職ならではの最大の魅力は、モノづくりの醍醐味を味わえることです。
自動車部品の営業職は、単に「売る」だけでなく、製品の開発や設計段階から関わることができるため、
完成品が市場に出たときの達成感は格別です。
自動車部品は、単体で完結する製品ではなく、自動車メーカーと共同で開発・改良を繰り返すことが多いです。
そのため、営業担当者は「顧客の声」を直接製品開発に反映させる重要な役割を果たします。
自分が関わった製品が市場に出て、ユーザーに評価されたときのやりがいは、他の営業職ではなかなか得られません。
この「モノづくりに直接関われる」という点が、自動車部品メーカー営業の大きな魅力です!
グローバルに活躍できるチャンス
自動車業界は世界規模での競争が激しいため、グローバルに活躍するチャンスがあります。
国内市場に限らず、世界中の顧客と取引をする機会が多く、海外出張や現地での交渉が求められるケースも。
グローバルに活躍できる環境があるため、語学力や異文化コミュニケーション能力が身につきます。
また、海外での成功体験が昇進や報酬アップに直結することも多く、キャリアアップのチャンスがあります!
営業成績がダイレクトに評価されるやりがい
自動車部品メーカーの営業職は、成果がダイレクトに評価される仕事です。
「営業成績=評価」となるため、努力と成果が正当に評価されやすく、昇給や昇進にもつながります。
自分の成果が直接評価されることで、モチベーションの維持につながります。
頑張った分だけ評価されるため、やりがいを感じやすい仕事とも言えます!

最近では結果だけでなくプロセスも重視する傾向があるので、上司とのコミュニケーションも重要ですね!
新しい技術やトレンドに触れられる
自動車業界は、日々ニュースにも取り上げられ、常に新しい技術やトレンドが生まれる分野です。
営業担当者は、最先端の技術や市場動向をいち早くキャッチし、顧客に新しい価値を提供する役割を担います。
営業を通じて最先端の技術に触れることで、技術的な知識や市場動向に詳しくなり、自身の成長につながります。
また、日本の基幹産業の一端を担っているという実感は、大きなやりがいにも!
メリハリを持った働き方ができる
忙しい業界ですが、ワークライフバランスの取れた働き方ができるという良さもあります。
繁忙期には忙しくなるものの、スケジュール管理や業務の効率化によって自分の時間を確保できるようになります。
これは、メリハリを持った働き方ができるというメリットになりますね!
また、自動車業界特有のカレンダーがあり、GWや夏休み、年末年始は基本的に9~11連休を取ることもできます。
僕自身も、長期休暇は家族と旅行に行ったりしてリフレッシュしています!
また、以下のような環境整備も他の業界より進んでいるイメージがあります。
業務が忙しくなりすぎないように、自分自身でスケジュール管理をしつつ、効率的に働くことで長期的に働きやすくなります!
【まとめ】自動車部品メーカー営業の「きつさ」と「やりがい」を理解して、最適なキャリアを築こう!

自動車部品メーカーの営業職は、「きつい」と言われることもありますが、やりがいや成長のチャンスも大きいです。
顧客対応や社内調整、目標達成へのプレッシャーなど、大変な部分は確かにあります。
しかし、自動車業界は日本の経済を支える重要な産業であり、営業として成果を上げることが、日本のモノづくりや経済全体に貢献しているという誇りを感じられる仕事でもあります。
営業職には向き・不向きがありますが、適性が合えば成長や達成感を強く感じられるはずです!
自動車部品メーカーの営業に向いている人と、向いていない人は以下の通りです。
営業職が「向いていない」と感じたら?
「営業はきついな…」と感じた場合でも、無理に続ける必要はありません。
営業職は確かに大変ですが、努力した分だけ結果がついてくる仕事です。
「自分に向いているかも」と感じた方は、ぜひ自動車部品メーカーの営業職にチャレンジしてみましょう!
あなたも、自分の成長と日本の未来を支える仕事に挑戦してみませんか?
今日もよい一日を!
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